まえのかつみさん 伊豆沼・内沼の魅力を体感
私は世界中どこに行っても”体感”することをテーマに撮影します。体感するためには現地の方々と話をし、現地で市場やスーパーなどで買い物をし、現地の方々が集う場所で食事をします。
なぜなら「撮る」という行為は自分の思考の結果、心の窓から見た景色を残すものだと考えているからです。
今回訪れた宮城県栗原市は無料で入館できるジオパークやサンクチュアリセンターがとても充実していて、どのようにその土地ができたのかがわかり、自然環境の厳しさとそこで生活している方々に感銘し、そこに生きている生き物について学び聞きたくさんの刺激と感動を自分に取り込み、撮影ごとに活かすことができました。私という思考を何度もアップデートできたことに感謝、感謝でした。
今回は特に通常の年ではなかなか出会えないハスの生死と神々しい姿を、田園と遊水地が広がるお陰で起こりやすい霧に昇る幻想的な朝日を撮影できました。事前に沼の下見をさせていただき、早朝から小舟を出していただけたから予測し、自然に身を溶け込ませて感動の声を上げながら撮影できました。
「今日の、ここの今」だから撮影できた作品群をぜひご覧ください。
今年は長雨のため通年と違い沼の水位が下がらずハスが水没してしまっていると聞いていましたが、普段見ることができないものを見て撮ることができることの方が価値があると感じるのが写真家ですから喜んで撮影に行きました。
その結果、このご時世のせいかハスの懸命に生きて咲こうとする姿、散り際の美しさ、すでに死んでしまっても生命を紡いでいく悲哀に満ちたでも楽しくなるような姿に感動し、何度もがんばれって声をかけながら撮影してしまいました。
またちょうど霧が立ち込めたり、その霧の向こう側から朝日がほんの数分顔を出したりと絶景にただ心を打たれながらマシンガンのようにシャッターを切り続けました。
撮影に協力をしてくださった観光課の皆様、船を早朝から出してくださった皆様、心から感謝申し上げます。ありがとうございました。約4,000枚ほど撮影したので整理が追い付かず、まずはハスの懸命に生きる姿をアップさせていただきます。
たぶん多くの方は花が咲くのを見にいくことを楽しみにされるのだと想像します。でも時には、お釈迦様の説法を感じるようなハスの姿を見て、生きることの大変さや尊さ、美しさ、素晴らしさを感じてほしいと大雨、コロナ禍の最中に撮影したことにより切に願いました。